山本亜希メンタルクリニックのブログ ~千代田区 九段下より~ 漢方薬
春の訪れとともに、今年も、スギ花粉症の季節がやってきました。

東洋医学では、花粉症の主訴の一つである”鼻水”は、身体の中の水分代謝の不均衡によって引き起こされると考えられています。

このような症状を抑える漢方薬で代表的なものは「小青龍湯」。 
さらさらとした水っぽい鼻水が出る寒証の方や 風邪や鼻炎、気管支炎や気管支喘息に対して処方される有名な漢方薬で、余分な水分を排出し、体を温めることによって、花粉症の不快な症状を緩和します。

抗アレルギー薬と異なり眠くなることがありませんので、機械の操作やお車の運転をされる方、接客業などで人前でマスクをつけづらい方には特にお勧めです。

「気分の落ち込み」は様々な原因によっておきるものです。
うつ病、適応障害といった精神疾患によるものばかりではなく、たとえば花粉症の症状である「くしゃみ・鼻水・鼻づまり」等による集中力低下のために仕事のミスが増える、効率が落ちる、判断が遅れる等の蓄積が次のトラブルを引き起こし
結果として精神的な症状の出現につながることもあります。

特に真面目で、責任感の強い方は、ミスをしたことそのものや体調管理がうまくいかないことで自責的になり、心のバランスを崩すこともしばしばです。

当院では、西洋薬に抵抗の大きい方に漢方薬による治療もご提案いたします。
早めの相談で心身の調子をととのえ、健やかな毎日を送るお手伝いができることを願っております。
2018.02.28 Wed l 漢方薬 l top
今日から9月です。

先月の終わり頃、いったん少し涼しい時期がありましたが、
この週末は猛暑が復活。

気候のめまぐるしい変化に心身が悲鳴をあげている方が
ここ数日増えているようです。

暑さ、湿邪、冷房の冷えによるものもあれば
暴飲暴食によるもの、行楽疲れ、行楽後の憂いなど、
この季節の不調を引き起こす原因は多岐にわたります。

なんとなくだるい、食欲がない、活気がない、
頑張りたいけど頑張れない・・・
夏の終わり~秋のはじめによく聞かれる訴えですが、
こういった症状の改善に、漢方薬は非常に効果的です。

この季節の倦怠感に対して、まず思い浮かべる漢方薬は、

補中益気湯(ツムラ 41番)
六君子湯 (ツムラ 43番)
十全大補湯(ツムラ 48番)
清暑益気湯(ツムラ 136番)

でしょう。

もちろん、症状、体質、身体所見によって使い分ける必要がありますが
これらの多くは基本的には食欲不振の処方です。

医食同源 という言葉もありますように、
食事が十分に摂れなければ、倦怠感は解決できません

ちなみに私は、疲れた時に栄養ドリンクを飲むような気持ちで補中益気湯を服用します。
体が欲しているのでしょう、お湯に溶かしていただくと、とても美味しく感じます。




※ 追記 :漢方薬での治療を望んでご来院いただく患者さんへ ※

ブログに記事を多く書いているからでしょうか、
このところ漢方薬での治療を希望して来院される方が非常に多くなっております。

私自身は漢方の良さを肌で感じており、
より多くの方のお役にたてればと心より願っておりますが、
「すべての患者さんを漢方治療のみでよい方向に導ける」と考えている訳では
決してございません。

抗うつ薬・抗不安薬・睡眠導入剤・感情安定薬等にも得難い効果があります。
病状・社会的背景・疾患の種類により、
漢方薬での治療が不適当と判断することもございます。

その旨、どうぞご了承いただければ幸いです。
2013.09.01 Sun l 漢方薬 l コメント (0) トラックバック (0) l top
入梅し、湿気の多い過ごしにくい日が多くなってきました。
暑さ寒さの繰り返しで、身体のバランスを崩している方も多いように思います。
体力の低下、疲れやすさ、食欲不振などを自覚しやすい時期です。

そんなときの強い味方が、「六君子湯」。

四君子湯(人参・蒼朮または白朮・茯苓・甘草・大棗・生姜)に
半夏・陳皮が加わり、痰飲(水毒)を消す二陳湯の作用も加わったもので、
体力がなく虚弱な方の食欲不振、胃もたれ、消化不良への効果があります。
同時に手足の冷え、下痢の改善も期待できます。

このように、「目標とする病状以外の体調も整う」という思わぬ副効用は
体内をめぐる「気・血・水」の流れを調整し、バランスを整える作用のある
漢方薬ならではの良さといえるでしょう。

漢方の世界では「同病異治」「異病同治」という概念があり、
前者は「同じ不調にも何通りかの治療法がある」ことを示すもの、
後者は「ひとつの治療でいくつかの病態が同時に改善する」ことを示すものです。

たとえば、女性に対し頻用される処方のひとつである「加味逍遥散」(ツムラ 24番)では
血の巡りを整えることで月経不順や月経痛、肩こりやめまいを改善させる他、
便秘や肌荒れにさえ効果を及ぼすこともあるのです。



当院では、漢方薬の処方を積極的に行っております。
もちろん、抗不安薬・抗うつ薬等、西洋薬にも得難い効果があり、
患者さんのご希望・ご要望により、また私の医師としての経験・見識により
両者を使い分け、時には併用しながら
最適な治療法をご提示させていただいております。

私ができる仕事は、「患者さんの症状をやわらげるための処方を考え、処方箋をかくこと」まで。
そして、それを毎日お体に入れること、体調をセルフモニタリングすることは
患者さんに担っていただく大切な作業です。

だからこそ、納得した上で、ご自身で「必要である」という思いをもってお薬を服用していただきたい。

そのような強い思いがありますから、
やはり、お薬の説明も時間をかけて丁寧に行いたい気持ちがあります。

しかし、時間の配分に工夫をしないと、
今度は一日に診療できる患者さんの数が大幅に少なくなってしまい、
結果として通院中の皆様にご迷惑をおかけすることにもつながります。

治療の質を落とすことなく、患者さんの受診機会を増やしていくにはどうあるべきか。
スタッフと共に、毎日知恵を練っております。

これからも、「はたらく人に よりよい医療を」をコンセプトに
待ち時間の問題、予約システム等々を創意工夫していきます!

2013.06.24 Mon l 漢方薬 l コメント (2) トラックバック (1) l top
3月16日、気象庁より靖国神社の桜の開花宣言がありました。
朝晩の通勤のたび、靖国通りの桜が少しずつほころんできているのを感じます。

クリニックの窓からみえる桜並木が、もう少しで見事に咲き誇るかと思うと
ワクワクしますね。

★当クリニックは、千代田区 さくらまつりに協賛しています!★




「はたらくひとのために、より良い医療を」
東京、千代田区、九段の山本亜希メンタルクリニックです。

漢方薬では、「母子同服」という考え方があります。
有名なところでは、「抑肝散」を夜泣き疳の虫等の症状がでる小児に処方するときに、
その母親にも同時に処方して、服用してもらうというものです。
(抑肝散については、また次回、お話しします。)

「薬は患者にあった適切なものを、必要な量、必要なだけ、患者に処方すべし」という
医学、薬学の概念からは
まったくもってオカシイ、素っ頓狂なお話しですが、
中医学、流れを汲む(日本の)漢方薬でも、
韓国の韓方薬でも同じようです(と聞きました)。

私も、漢方を勉強する以前、この話を聞いた時には、
今から考えれば、本当にお恥ずかしい話ですが、
大笑い、お弁当を食べながら吹き出してしまったことがありました。
大手製薬会社のMRさんが、
自分のところの薬を売りたいから、思いつきでいってる冗談だと思いました

その後、精神科医として臨床経験を少なからず積み、
多くの先生方の研究成果や論文を拝見し、また、漢方薬の効果も臨床で感じる中で、
親子や夫婦でクリニックを訪れる方も意外に多いことに気が付きました。

確かに同じ屋根の下で暮らしている親子は、
少なからず互いに思考や行動など影響しあいます。
親がイライラしていれば、それは子供にも影響を与えます。

特に、子離れの年齢が高くなっている現代社会、
高等教育が普及して親が子供の学費を出す日本では、
欧米より子離れする年齢が遅れ、また晩婚化や世代間経済状況の影響などによって、
親が成人した子供に経済的、精神的な影響を与えつづけるということが
普通におこっています。

おそらく昔の母子同服という概念は、離乳前後、遅くとも成人前だったのでしょう。
しかし、現在の日本では、電話やメールの普及でコミュニケーションが容易になったためか、
特に女性同士である母と娘の場合、一卵性母子といわれるように、
親が就職や結婚、孫の子育てや、家の購入にまで口をはさむことがおきる現状では、
極端な例では、子が50代でも母子同服が有効な場合があります。

私共のクリニックでは、
自費診療の場合であれば、健康保険適用を気にすることなく、
「母子同服」の処方をしています。

あとで、おってご紹介しますが、想像以上に効果が表れる例もありました。

(さすがに、症状が出ていない方(たとえばお母さん)に、税金負担である健康保険適
用を無理にして、
薬を処方することは当クリニックではできないためです(汗))

こういうところで、臆病でありながら、学級委員体質の私の性格が出ています

2013.03.18 Mon l 漢方薬 l コメント (2) トラックバック (0) l top
千代田区 九段下の山本亜希メンタルクリニックです。
今日は、市ヶ谷駅から歩いてクリニックまで来ました。靖国神社の境内を通ってくると
寒い中でも春の気配を木々から感じます。

パンフ~1

(医院のパンフレット用に撮影した写真です。患者さん役を引き受けてくださった女性は、実はかなりの美人さん!)

さて、患者さんからも良くお問い合わせがあり、
院長の私が自分でもつかっている漢方薬(中医薬)についてのお話です。

今回は、「板藍根(ばんらんこん)」について。

「板藍根」は、中国では風邪の季節にはなじみの深い生薬です。
タイセイやホソバタイセイというアブラナ科の植物の根を乾燥させた生薬で、
風邪やインフルエンザにかかった時の熱症状や、のどの痛みなどにお茶代わりに飲んだり、
学校などでは、抽出液を喉にスプレーするなどの方法で広く利用されています。

漢方医、古典の世界から見れば、とても新しい生薬で、
そのため日本薬局方には掲載がなく、薬として処方されることはありません。

日本では、医薬品ではないため、保険診療には使えません。
また、医薬品ではなく、毒物劇物でもなく、麻薬や大麻等の流通、所持が禁止されているものでもないので、
食品、健康食品として流通しています。

漢方薬(日本流)でも、中医薬(中国流)では、タンミで生薬を使うことはあまりないので
その点では、珍しい使い方だと思います。

東洋医学
(実際、中国ではこういう言い方しません、この意味、中国語では「日本医学」になります
中国語では、東洋≒日本という感覚です。
つまり東にある国なんでしょう、用例 『東洋鬼』

中医の本を見てみますと、
板藍根は<清熱解毒><涼血利咽>とあります。

証としては、<苦寒性>で、体を冷やすことになりますが、
これを、西洋医学的な対処療法では、解毒作用と抗菌作用、抗ウイルス作用に優れているため、
インフルエンザや扁桃腺炎、ウイルス性肝炎などに用いられています。
ヘルペスや帯状疱疹、顔面神経痛に使う例も報告されています。

私も風邪の初期には予防的に飲むことが多い中成薬です。
お気に入りの中医薬の一つで、
中国にいったときには必ず、顆粒分包されたものを買い求めて自分用にストックしています。
日本の精神科医で、中国までいって薬を仕入れて、こんなこと書いている人は少ないんだろうな

漢方薬(日本の)、中医薬(中国の)、韓方薬(韓国の)では、
それぞれ流派や考え方が微妙にことなります。
太極図でいう、陰陽の逆転もあり、逆もまた真で、本当に難しいと思っています。
(だからこそ、勉強のし甲斐もあるのですが)
2013.03.01 Fri l 漢方薬 l コメント (0) トラックバック (0) l top