山本亜希メンタルクリニックのブログ ~千代田区 九段下より~ 「A→B→C」から「C→A→B」へ、”アンパンマン”から”Ob-La-Di, Ob-La-Da”で
前回更新した記事で、メディアの医療情報について思うところを書きました。

私もせっかく、このような自ら発信できる場を持たせていただいているので、
メンタルの事に限らず、
お読みいただいている皆様にとってお役に立つような情報を
少しずつ発信していきたいと思っています。

今日は、救命救急についてのお話。

10年ほど前までは「気を失っている人の手当はABCの順!」が合言葉でした。

air-way(気道)のA、breathing(呼吸)のB、 circuration(循環)のCで
まずは空気の通り道を確保したのちに
人工呼吸をしつつ、
それから心臓マッサージを行いましょう
というもの。

ところが、これも既に今は昔。
2010年以降のガイドラインでは、
気道確保や人工呼吸よりも早く循環の確保を行うことが推奨されています。
ABC」ではなくて「CAB」が推奨されている順序です!

(無酸素状態による臓器のダメージを最小限にするためです。
 特に脳は酸素の供給停止後5分以上経過すると深刻な機能障害をきたすといわれています)

昨年10月に一般社団法人 日本蘇生協議会(JRC)による「JRC蘇生ガイドライン」が5年ぶりに改訂されました。

BLS.jpg

引用元:
http://jrc.umin.ac.jp/pdf/20151016/1_BLS.pdf

最新のガイドラインでは
順序だけでなく、推奨されているマッサージのテンポや胸骨を圧迫する深さなども改訂されています。

2010年のガイドラインでは
「1分間に100回以上の心臓マッサージ」が推奨されていました。

2015年では
「1分間に100~120回」と変更されています。

(マッサージのリズムが早すぎると効果的な循環を確保できないため、
上限が設けられたという経緯があります)



しかし、ここで大きな問題が。

心肺蘇生を行うという非日常の緊急事態において
「1分に100回~120回」のペースをいったいどうやって守ればいいのでしょうか!?

そこで、皆さんに馴染みのある「音楽」がひとつの目安になります。

「アンパンマンマーチ」
「世界でひとつだけの花」

・・・ほぼ、1分で100拍のリズムです。

Princess Princessの「Diamonds」
ビートルズの「Ob-La-Di, Ob-La-Da」

・・・ほぼ、1分で120拍のリズムです。

また、胸骨の圧迫は「5センチ程度、6センチをこえない」程度の力が目安です。



AED(自動体外式除細動装置)の普及もあり、
適切な初期対応を行うことで救える命が増えています。
http://www.fdma.go.jp/html/hakusho/h24/h24/html/2-2-5-5_2.html

いざという時に、大切な人の命を守れるように
正しい知識を身につけて冷静な対処を行えるようになりたいです。




★当院ウェブサイトはこちらです。診療時間、アクセス等ご確認ください。
★Facebookページはこちらです。
2016.02.08 Mon l おしごと l top